歩行・動作の専門家である【理学療法士】の目線で、自分の歩行を見直し正常歩行に近づくこと、そして正常歩行で歩くことのメリットをお伝えしています。
本日は、正常歩行に繋げるストレッチの第2弾をご紹介したいと思います。
※第1弾はこちらです。
今回のストレッチにおけるポイントは【胸椎】です。胸椎は背骨の一部で、胸の後ろ、肩甲骨と同じ高さあたりに位置します。
デスクワークの多い現代の一般的な生活では、首を前に突き出した姿勢が長く続いたり、キーボードを打つために猫背となってしまい、胸椎は正常な動きから逸脱しやすくなります。
「胸椎っていったいどこ?」と思われる方もいらっしゃると思いますので、ぜひ下の図で確認してみてください。
顔を下に向けると出っ張る背骨の少し下から、ウエストの少し上のあたりまでが胸椎です。歩行で使う脚とは全く違う部位にありますね。
さて、こんなにも胸椎は足から離れているのに、なぜ正常歩行に胸椎のストレッチが必要なのでしょうか。
その理由は【歩行の時に振る腕】にあります。
よく、「歩く時にはしっかりと腕を振りましょう」と言われますね。
このこと自体は正しいのですが、実は「腕だけを振る」のであれば【不十分】なのです。
上の図を見ていただくとわかるように、腕の骨(上腕骨)には肩甲骨が繋がっています。また、肩甲骨は肋骨の上にあり、肋骨は背骨に繋がっていますね。
腕(上腕骨)だけを振るのではなく、腕の振りと連動して肩甲骨が動き、さらに背骨(胸椎)が動くことが正常歩行の時には重要なのです。
なぜなら、歩行時に胸椎がしっかりとひねりの動きが出ると、骨盤はカウンターとして胸椎とは反対のひねりの動きが出ます。骨盤が大きく動くと、繋がっている足が大きく振りだしやすくなり、しっかりと大きな歩幅で歩けることに繋がります。
逆に、【腕だけ】を振っていても、胸椎の動きが少なければ足は振り出しにくくなってしまいます。
【腕だけ】を振りながら大きな歩幅で歩こうとしても、身体には余計な力が入ってしまうために歩きにくさを感じたり、疲れやすくなってしまうのです。
一見、腕を振ることの何が歩行にいいのかは分かりにくいように思えますが、実は足を大きく振り出し、歩幅を大きくできることに繋がっているのですね。
現代の生活では、大きく腕を動かす仕事は減ってしまい、PC作業が多くなっています。家の中での家事も家電の進化が進んでおり、身体を大きく使うことは少なくなっているのです。
そのために身体を大きく動かさなくても、仕事も生活も事足りてしまい、肩甲骨や肋骨、背骨を大きく使う機会はどんどん減少しています。
このような生活ですと、肩甲骨や胸椎の動きは小さくなり、それに伴って関節周りの組織がかたくなりやすいという悪循環につながります。
組織がかたいままでは、歩行の時に腕を振ろうと思っても動かしにくさを感じたり、人によっては痛みを引き起こしてしまうこともあるのです。
まずはこのかたくなっている胸椎を柔らかく、動きを大きくするために、こちらのストレッチを取り入れてみてください。
レッツ体操 姿勢改善のストレッチ&トレーニング – 全日本民医連www.min-iren.gr.jp
1番目の【胸椎回旋運動】ストレッチだけでも十分に効果がありますので、帰宅後や寝る前などに取り組んでみてくださいね。
また、こちらのストレッチはあくまで一般的な方法になります。
ご自身の身体は実際のところどうなのか知りたい、興味がある、という方は一度身体と歩行のチェックをおすすめします。
個人個人で身体や生活習慣は異なりますので、診せていただくことでカスタマイズしたセルフエクササイズや、歩行のポイントもお伝えできます。
気になった方は是非ご相談ください。
コメント